第三者委員会の「最終報告書」を受けての日本大学教職員組合の見解

2018年8月6日
日本大学教職員組合
執行委員長 菊地 香

 日本大学アメリカンフットボール部における反則行為に関する第三者委員会(以下、「第三者委員会」とする)の「最終報告書」を受けて、これまで日本大学教職員組合(以下、「組合」とする)が掲げてきた「要求書」に関する見解を表明します。

pdf はこちらから

(1)内田正人前監督の全ての職の解任
 組合が当初から求めていた要求が達成されたといえます。第三者委員会の「最終報告」を受けた大学は、7月30日に臨時理事会を開催して、大学の信頼を著しく損ねたとして内田氏、井上氏を懲戒解雇処分としました。組合の主張が第三者委員会の調査・報告によって裏付けられたといえます。

(2)アメフト部の『抜本的な改革と再生』
 内田前監督と井上前コーチが懲戒解雇になったほか、事件当時のコーチも全て排除されることになりました。内田前監督らの影響を残さないために、日本大学アメフト部OB以外から新監督・新コーチを募集することになりました。ただし、加藤直人部長と道明康毅副部長については、現時点では、その職を継続しております。加藤部長については、第三者委員会の「最終報告書」において、十分な役割を期待することは困難であったという事情は認められるとしつつも、部を統括する立場にあったが、当事者意識を欠き、内田氏の独裁体制を放置し、適切な事後対応を講じなかったと指摘されています。こうした点からも加藤部長の解任は免れないものといえます。

(3)日本大学の組織のあり方の『抜本的な改革と再生』
 組合は、保体審出身者の優遇措置を改めることや、常務理事・理事と運動部の監督・部長の兼任の禁止を求めました。「最終報告書」では、ガバナンスの観点から保体審の組織改編(仮称「スポーツ推進支援センター」の設置)が提案されることになりました。また、競技部の部長や副部長、指導者(監督、コーチ)がスポーツ推進支援センターの幹部または事務局職員を兼任することを禁止することや、理事長、常務理事、学長及び副学長が競技部の部長、副部長、指導者、上記センター幹部または事務局職員を兼任することも禁止することを打ち出しています。組合は、権限・権力の集中を抑制し、ガバナンスを有効に働かせるためにも兼職を禁止すべきと主張してきましたが、第三者委員会の考え方と共通するものであったといえます。また、組合は、保体審出身者の優遇について、保体審の組織改編にあたり不透明な仕組みを改めるべきだと考えています。
 また、組合は、権限・権力の集中を抑止し、多くの教職員の意見を反映した大学組織にしていくために、教職員の無記名直接選挙による学長の選出を主張し、学長を名実ともに大学の最高責任者とすることを求めてきました。今回の日本大学アメフト部の事件では、教学の長としての学長の役割が重要であったことは言うまでもありません。しかし、その学長は教職員一人ひとりが無記名直接選挙によって選んだ学長ではありません。責任感・当事者意識がある学長を選出するためには、教職員一人ひとりによる無記名直接選挙を実施することが不可欠と言えます。

(4)大学上層部の『解体的な出直しと再生』
 組合は、内田常務理事だけではなく、5人の常務理事全員の解任と、田中理事長と大塚学長の辞任を要求しました。まず、企画広報担当理事については、「最終報告書」のなかで広報としての本来の役割を果たさなかったことが指摘されています。「最終報告書」では、事案が深刻化しはじめた段階から、関連報道を詳細にリサーチし、迅速かつ丁寧で誠実な対応を積み重ねていれば、これほどまで大きな社会問題に発展することはなかったのではないかと述べられています。内田常務理事を除く、その他の常務理事のなかでも、特に企画広報担当理事は、日本大学のブランドイメージを傷つけた責任は重いと言わざるを得ません。
 次に、田中理事長については、「最終報告書」において当事者意識を欠いたまま危機管理の対応にあたらなかったと指摘されています。また、「最終報告書」が発表された時点においても公式な場に姿を見せることなく、自らの見解を明らかにすることなく、およそ一切の外部発信を行っていない状況であることが問題視されています(8月3日になり大学ホームページにて「学生ファーストの理念に立ち返って」という見解を表明)。日本大学の最高位の立場にある者として、自ら、十分な説明責任を果たすべきであると述べられています。このような点から、組合は、理事長が記者会見を開き、疑問となっていることに対して答えるなどの説明責任を果たすことを要求します。
 また、「最終報告書」の前段部分において、「理事・理事会」、「理事長」、「常務理事」の役割の説明があり、そのなかで、理事長は職務に当たり、「善管注意義務」及び「忠実義務」を負っていることを論じています。つまり「最終報告書」は、理事長であれば当然行うべき、危機管理や説明責任を果たしてこなかったのであり、理事長は「善管注意義務」及び「忠実義務」に反していたことを示唆しています。このような点からも、組合は理事長の辞職を引き続き要求していきます。
 最後に、大塚学長については、「最終報告書」のなかで、教学の第一義的責任者として、また、保体審の会長としてアメフト部をはじめとする競技部の適正運営において重要な任務を担っていたが、責任感・当事者意識が乏しいと述べられています。また、内田氏の主張に沿った対応を取り続け、反則行為におよんだ選手に助けの手を差し伸べるでもなかった点が問題とされています。こうした不適切な事後対応が状況を悪化させ、日本大学に対する信頼低下ないし悪化を招いたと結論づけられています。競技部の運営責任の点や、事後対応を内田氏任せにしたこと、そして何よりも学生を守らなかったという点からも、組合は、学長の職を辞することを要求していきます。
 組合は、理事会に対して第三者委員会が認定した事実および提言を真摯に受けとめて、実行していくことを求めます。また、組合は、「アメフト部の『抜本的な改革と再生』」や「日本大学の組織のあり方の『抜本的な改革と再生』」、「大学上層部の『解体的な出直しと再生』」に関する要求のうち、実現されていない事項については団体交渉の機会などを通して理事会に実行することを要求していきます。

以上